top of page

ピアノの習慣が育む力

私が日々のレッスンで多くのお子さまと向き合う中で、改めて感じていることがあります。

それは、ピアノのレッスンは単に曲を弾けるようになることだけが目的ではなく、集中力や計画性、物事を最後までやり遂げる力、そして心を豊かにする情緒を育む、総合的な学びの機会だということです。

 

小さなお子さまにとって、毎日練習する習慣は一朝一夕で身につくものではありません。
一人で練習のリズムが整うまでは、ご家庭での見守りや声かけが欠かせません。

練習はお子さま一人でがんばるものと思われがちですが、ときには一緒にピアノに向かい、音楽を通じて過ごす時間を楽しむ気持ちで寄り添っていただくことが、大きな支えになります。

ピアノは、教室に通う時間だけで完結する習い事ではなく、ご家庭での積み重ねが心の成長と学びの土台をつくります。
そうした日々の関わりや励ましが、お子さまにとってかけがえのない安心感と意欲を育てることを、どうか心に留めていただければと思います。


こうして一緒に練習に向き合う時間は、情緒の豊かさや自分で考える力を育むだけでなく、ご家族の心のつながりを深める大切なひとときにもなります。
「今日はここまでできたね」「昨日より落ち着いて弾けたね」と声をかけるだけでも、お子さまは大きな励ましを感じています。
やがて、自分からピアノに向かう習慣が芽生え、少しずつ自信や達成感が積み重なっていくことでしょう。


こうした積み重ねは、「もっときれいに響かせたい」「新しいことに挑戦したい」といった気持ちを育て、楽譜を読み取る力や、自分で考えて計画を立てる力へとつながります。
それは音楽の世界を広げるだけでなく、学習や生活にも通じる大切な力だと思います。


近年では、幼少期から楽器に親しむことが脳の発達や心の成長に良い影響を与えることが、さまざまな研究でも示されています。
ハーバード大学の調査では、楽器演奏が集中力や記憶力、空間認知を育むことが報告されており、日本音楽教育学会の研究でも、ピアノを経験したお子さまは計画性や自己管理の力が育ちやすいといわれています。
こうした経験が、将来の学びや選択肢を広げる確かな土台になっていくのだと、私自身も日々実感しています。


私の教室でも、練習を積み重ねてきたお子さまほど、高学年になっても意欲をもって学び続け、自分らしい進路を選び取っていく姿が多く見られます。
それは、毎日の小さな挑戦を重ねていく中で、心のしなやかさや物事に向き合う強さが育っていくからだと思います。


練習の環境づくりは、特別に難しいことばかりではありません。
一日の中でピアノに向かう時間を決めてみること。
電子ピアノからアコースティックピアノに切り替えてみること。
練習を特別な行事ではなく、ごく自然な日々の習慣にしていくこと。
そのひとつひとつが、お子さまの未来を広げるきっかけになります。


森田ピアノ教室では、お子さま一人ひとりの個性やご家庭のペースに合わせて、無理なく続けられる練習の工夫や声かけを一緒に考えていきます。
ピアノを通して、音楽が好きになってもらうこと、自分の力で未来を選んでいく強さを育むお手伝いができましたら幸いです。

bottom of page